また海を見てきた

なんか他の地域は雪が降りまくっているみたいなのに、僕の住んでるところは何故か太陽が拝めた。親父は二時過ぎに出かけた。僕は波乗り野郎でのデータの取り込みを中断して三時前に自転車で出かけた。前行った時はパーカーでは寒かったのでダウンジャケットを着て出かけた。さすがに(上半身だけは)温かかったけれど顔は凍りつきそうだったしこめかみの辺りが痙攣していた。

今日はもうひとつの橋から島に入った。湾岸道路を横切って人気のない大きな公園脇の遊歩道を抜け、右の方に海が見えてその遥か向こうの陸地にツインタワーや大きな橋が見えた。走り続けてやっと橋が見えてきた。ひっきりなしに前方から叩きつけてくる風のせいで橋までたどり着くのに異様に時間が掛かったような気がした。橋は弓形に盛り上がっていたので上りがきつい。その間も右側の海や馬鹿でかいフェリーを見ていた。橋を渡りきったらすぐに交差点で右折して両側にトラックが止まっていて時折人が座って休んでいる背の低い工場の間を抜けて行き止まりまで行ったら左折していつもの岸壁のほうへ走った。三時台なのにもう小さな雲に隠れた陽は白みを通り越して黄色くなり始めていた。海への一本道の両隣は建物がなかった。左手は低い草むら、右手は黄色い砂の更地。その向こうにはやっぱり工場がある、というより広がっている。どの建物も平べったくて広くて白い。いつもとは反対方向からスロープを登った。今日は海の向こうの橋までよく見えた。かもめは風に身を横たえているのに、名前のわからない首の長い黒い鳥は数羽の群れでばたばたと羽ばたきながら横切っていく。そして南の空からはジェット機が飛んでくる。最初は横切っていき、こちらに振り向いてぐんぐん近づいて腹を見せながら急旋回して、夕陽の落ちたまぶしい海の向こうのぎらぎらした陸地に消える。

二十分ほど見ていた。人っ子一人通らなかった。寒くてお腹が痛くなってきたので帰った。家に着いて今の母に顔を見せると、母はすぐに起き上がった。夕飯は昨日の残りを使ったおじやだった。