親父のいる一日

襖が閉まっているのを見て時計を見ると十時半だった。朝早くに親父が帰ってきたような気がする。というか早く帰ってきたから襖が閉めてあったのだけれど。すぐに昼飯。

新聞を読んでその後はネット。今日はニュースのぶくまさえしていない。なのに何をしたのか殆ど印象に無い。本当に何をしただろう。そうだ。Bloglinesの人気サイトを見ていた。英語のサイトであんまり内容はわからなかったけれどボーっと眺めていた。Boing Boingとか。del.icio.usもお気に入りに入れてみた。

火狐拡張のMenuXのバージョンアップの通知が来たのでインストールして再起動し、ツール→オプションをクリックするとフリーズした。タスクマネージャで強制的にタスクを終了し、再び立ち上げて同じことをしてもやっぱりフリーズ。何度か繰り返してみても変わらなかったので削除してからオプションをクリックしてもフリーズしなかった。テーマや拡張のマネージャのボタンが付くので便利だったのに。しばらくしたらまた入れなおそう。

四時半ごろに夕飯。今日は串揚げだった。魚介類が多かった。その後もネット。母が散歩に出かける前に僕に財布を渡した。新聞の集金が来るかもしれないとのことだったけれど、結局来なかった。七時ごろに親父が散歩に出かけた。僕は七時四十五分ごろに散歩に出た。高層マンション群を突っ切って、住宅街の坂を上っていくと狭い道路に出た。向かいの古い家並みの中に入って車の一台も通れない人が通るためだけにある両側を白壁に挟まれた迷路のような暗い道をひたすら進んだ。全くの当てずっぽうだった。やっと車一台が通れる道に出て道なりに歩くと二車線の道路に出て、それが大きな国道に通じる道だとわかった。帰ろうかなと思ってけれど、やっぱりまだ歩くことにした。

道は上り坂だった。右手には一車線だけの鉄道が走っている。左手の遠くには大きな国道が走っているのが民家の隙間からちらちら見えた。自販機の明かりと点在する街頭と、時折走る車のライトに照らされながら、遥か向こうに見えるきらきらと光る建物に向かって歩き続けた。あれは以前農園に行くときに見たパチンコ屋だと思っていた。そこから逸れて、大きな国道を通って帰ろうと思っていた。やはりあのパチンコ屋だった。その手前の道で曲がって大きな国道に出た。

遠くに目をやると真っ黒な斜面の遥か向こうに、きらきらした真っ白な光が群れを成していて、その向こうから点滅する光がどんどん飛び出して飛んでいく。左から右へ冷たく重い空気の壁が叩きつけすり抜けて這うように飛んでいくのにつられて、踏み出すために足を上げるたびに体が右へ右へと流される。一時でも早く帰りたくて早足で歩いていたら手の甲に冷たい感触があった。気のせいと思って掌をかざすと、やはり冷たいものを感じた。空を見上げると薄い雲に包まれていた。数分ほど走ると雨がやんだので、また歩き出した。薄い雲に包まれた空は地上から照らされて光を含んでうっすらと明るかった。土踏まずが痛くても足を止めることができず、次々につま先が振り上げられ踵が振り下ろされて地面を叩いていく。坂道を降りていくに従って群れを成していた光は散り散りになり、一つ一つが大きく強く輝き始めた。下りていくに従って視線は上がっていって、真っ直ぐ向こうにコンビニや焼肉屋が見えてきた。その中を抜けて団地に戻った。

一時間二十分くらい歩いた。帰ってみると親父は既に帰って来ていて風呂に入った後だった。母に柿を食べないかと言われたけれど、いらないと答えた。父はマクドナルドに行ってきたらしい。